頼ってください、無料の通訳サービス。
ハワイの裁判所や病院で通訳を頼むときに知っておきたいこと
「通訳って、英語が話せない人のためのものでしょ?」
「日常英会話はできるから、通訳はいらない」——そう思っている方も多いかもしれません。
でも実は、医療や法律のような“専門的な話”になると、日常英会話とはまったく別の領域です。
ふだんは流ちょうに英語を話す方でも、病院や裁判所では「何を聞かれたのかよく分からなかった」と不安になることがあります。
そんなときこそ、通訳という仕組みを遠慮なく使ってください。
ハワイでは、医療機関や公的機関で通訳を無料で利用できる場合が多くあります。
通訳を使うことは「できない」ことの証明ではなく、「ちゃんと伝えたい・きちんと理解したい」という前向きな選択なのです。
無料通訳サービス、実はこういう仕組みです
たとえば、こんなところでは利用者の費用負担なく通訳が手配されるケースが多いです:
- 病院などの医療機関
- ハワイ州や市の裁判所
通訳は施設側が手配するため、通訳者を指名することはできません。
その日その場で対応可能な通訳者が派遣されます。
このような場面で通訳を担当する場合、通訳者は中立性を強く求められます。
通訳の立場には、実は2つの種類があります
通訳者がどう依頼を受けてその場にいるかによって、役割や対応のしかたが変わってくることをご存知でしょうか?
私自身も、
- ケース1:お客様から直接ご依頼を受けて通訳を行うケース
- ケース2:医療機関や裁判所などから依頼を受け、無料通訳サービスとして派遣されるケース
の両方を担当しています。
今回ご紹介しているのは、後者の公的機関による無料通訳サービスについてです。
この場合、私は利用者の「味方」ではなく、「相手側」でもなく、あくまで中立な橋渡し役としてその場にいます。
同時に、医療機関や裁判所から依頼を受けていますが、そちらに寄り添う、与するということもありません。
できること/できないこと
🟢 できること:
- 話された言葉を、そのまま別の言語に正確に訳すこと
- 相手の言葉も、あなたの言葉も、ニュアンスをできるだけ損なわずに届けること
- その場にいるすべての人に、意味が通じるように橋渡しすること
🔴 できないこと:
- 相手がいない場面で話されたことを通訳すること
- 通訳者が判断して内容を省略・変更すること
- 利用者の代弁者になること
中立の立場を守るため、通訳者は常に「その場にいる全員が理解していること」を前提に話すしかないのです。
「先にこれも伝えておいてもらえますか?」は基本NGです
ときどき、「これを先に伝えておいてください」とお願いされるケースもあります。
これは直接ご依頼をいただいている場合はOKですが、
無料通訳サービスなどの公的通訳ではNGとされています。
当事者同士がその場にいる状態で通訳するのが基本ルールです。
相手がその場にいなければ、通訳はできません。
これは守秘義務や公平性を守るためにも、とても大切な原則です。
守秘義務があります。だからこそ、安心して話してください
通訳者は、守秘義務(Confidentiality)を強く求められる職業です。
その場で通訳した内容、また見聞きしたことを第三者に漏らすことは一切ありません。
「この話、他の誰かに知られたら困るな…」
「正直に話してもいいのかな…」
そんなときも、どうかご安心ください。
通訳者は、通訳した場に関係しない人にその内容を話すことは絶対にしません。
チップや贈り物についてのお気遣い、ありがとうございます
ありがたいことに、通訳後に「ありがとう」の気持ちとして
チップやちょっとしたプレゼントをご用意くださる方がいらっしゃいます。
そのお気持ちは、本当にうれしく思います。
ただ、通訳者が公的機関から派遣されている場合、金品を受け取ることは禁止されています。
ですので、心から感謝しつつも、
「お気持ちだけ頂戴しますね」とお伝えしています。
どうかご理解いただけますと嬉しいです。
「これ訳さないで」も、訳すのが通訳の仕事です
ときどき驚かれるのですが、
通訳者は、その場で話されることをすべて通訳する義務があります。
つまり…
- 「これは訳さないで」と言われても、それをそのまま訳します。
- 「あの弁護士さん、なんか頼りなくて…」といったグチやつぶやきでも、
相手がその場にいれば、それも英語に訳すのが原則です。
通訳者は、その場にいるすべての人に向けて話された内容を、中立に伝える役割を担っています。
まとめ:「伝える」と「守る」の両方を大切にしている仕事です
通訳は、単に言葉を置き換えるだけの仕事ではありません。
「ちゃんと伝わった」「ちゃんと分かった」という安心をつくる仕事です。
その橋渡しを、正確に、誠実に行うこと。
それが私たち通訳者の仕事です。
大切な場面こそ、安心して通訳を頼ってください。
それはあなたが「きちんと向き合いたい」と思っている証拠です。
