ネイティブじゃなくても、ちゃんと通じる。伝わる英語手帖。#6 “らしさ”まで伝えたいときの通訳のコツ
ネイティブじゃなくても、ちゃんと通じる。伝わる英語手帖。#6
通訳ブログ
「この方なら、なんて言うだろう?」
先日、とある式典でスピーチ通訳を担当させていただいたときのこと。
日本語の原稿は、しっかりしたお言葉づかい。でも堅苦しさはなく、どこか親しみやすい空気がありました。
書かれた言葉を訳すだけでは、ちょっと足りない気がしたんです。
その方は、企業のトップとして登壇される立場。でも、実際にご一緒したときは、とても誠実で、
芯に情熱があって、そしてちょっとお茶目でフレンドリー。
そんなお人柄を、英語でも伝えたい。「この方が英語話者なら、どんなふうに話すかな?」
そう想像して、通訳の言葉を選んでいきました。
言葉は“音声”だけじゃなくて、“人”を運ぶもの
原稿に書いてある言葉をそのまま訳すことももちろん大事だけれど、
「どんな想いで、誰に向かって話しているのか」まで感じ取ることが、もっと大事なときもあります。
そのためには、話し手の人柄や、声のトーン、その場の空気感、
ひとつひとつの要素を受け取って、ふさわしい言葉を探していく作業が必要です。
言葉そのものだけでなく、“らしさ”も届けたい。
それが通訳という仕事の、奥深くてやりがいのあるところだなと思っています。
最後に
以前、ある先輩の通訳者の方に教わったことがあります。
「通訳ってね、訳すんじゃなくて“その人に乗り移って話す”くらいの気持ちでやるんだよ」
その言葉がずっと心に残っています。
だから今日も、クライアントのみなさんに、そっと乗り移るつもりでお仕事してきます。
